PINKFOX 強制収容16
「・・・・・・・・・・・」
薄暗い部屋を興味深そうに見渡す女医。
だが警戒心とショックで何もしゃべらない美智子。
「・・・感激だわ・・長くここに努めていてもね司令官直属のオモチャ達の部屋へ入ったのは初めてなの。
あらあら温泉まであるのぉ、よかったじゃないクスクス・・」
「・・・・あなたは私を馬鹿にしに来たのですか?」
挑戦的な美智子の目つき。
笑うのをやめ、やれやれといった顔つきでエリート女医はその細い指先を白衣のポケットに入れ小さな小瓶を
取り出す。
高々と見せられあ・・・と声を失う美智子。
それは彼女がこの島に連れてこられこの女医の前で垂らしまくった精○に似ている。
だが瓶が違う・・・
「あなたにまだ愛はあるのかしら・・・」
同じ頃、黒奇島の処刑場では例の藤堂が両手を縛られ、銃殺刑を受ける瞬間だった。
立会いには勿論蜂の巣司令官もいたがここで蜂の巣から待ったがかかる。
「藤堂、冥土の土産に少し話を付き合ってやろう。話次第では・・・助けてやらんでもないがな・・バホバホ(笑」
腰にかけた刀の鞘を抜かずに抜き、ボコボコにされ、吊るされ下を向く藤堂のアゴ先をクイっとおこしてニヤつく
蜂の巣。息をするのがやっとの藤堂はとぎれとぎれに電波の悪いラジオのように話しはじめた。
「な・・・なに・・もない・・・・・ただ私は、馬鹿だ・・ただけだ・・・ククク。昇進できる・・と信じ・・・・お、お、おんな
スパ・・イから政治、家の極秘じょ、じょうほ・・うを得、報告し・・・・け、け・・・か・・・・命・・いのちを・・・フハ!・・・・ガッハハ・・・ゴホ!!・・ピ、ピンクフォックスめぇぇーっ(怒)!!!!」
けげんそうな顔の蜂の巣。
「・・お前の馬鹿さ加減は分かったが・・あの女スパイを何故恨む?ああ!?」
「・・・・・・見なさいし、司令官・・・・」
ジャキッ!!
ジャカーンッ!!!
見渡すとなんとさっきまで味方だった何十人もの護衛たちが藤堂どころか蜂の巣司令官にまで銃を向けている
ではないか!
「おっ!お前らストップストップ!!貴様ら上官まで撃つ気かバホッ(怒)!!」
護衛たちは無機質の顔を演じ言う。
「・・・あなたも一緒ですよ指令。藤堂もろとも射殺、もしくは儀を立てて殉職にしろと上からご命令がありま
した。勅命です」
「・・・・・・・・ヒ!・・・」
蜂の巣は数秒後、ようやく事の理解が出来、顔を青ざめ動揺した。
「あ・・あなた・・も私と・・い・・・いっしょでの・・のこられる・・と都合が・・・悪いらし、いです・・・な・・・クク・・・・
ピ、ピンクフォクス・・がお、教えた極秘き・・みつで・・・A田大臣がじ・・辞任・・・・代わりにあが・・・・たO沢氏・・・・・はど・・同人誌ま・・まぶ・・ちみ・・みちこ外伝、PI・・N・KFO・・Xシリーズ・・にも出てくる・・・か、買ってね☆」
「なにげに宣伝かよ」
つまりは美智子が藤堂に流した極秘情報を話した上の人物がそのネタでA田大臣を追い込み、辞任させ干されていたO氏が大臣に任命されたいう訳である。そのあおりを食い、A田一派は全て表舞台から消されていくのである。
勿論藤堂は極秘ネタの最重要人物だし本土的には存在しない部門の責任者だからであるが、事態はそれだけでは収まらない。
マスメディアの普及とよりダイレクトな国民の直接の意見のできるクリーンな世の中になってしまった今と
なっては開かれた、より強い透明性が重要なのである。
それが政府や国の命令でこのような島をつくり、罪人といえども名前を剥ぎ取り犬猫レベルの扱いをし、旧
○イツ軍のゲ○ュタポのような事をし最後には死に至らしめるなどというものが存在しては非常にまずいので
ある。
無論美智子はただリョウタたち囚人を助けたいが為にしゃべっただけでまさか政局まで一変するとは考えてもいないが彼女の元、産業スパイ、ピンクフォックスの成せる技だったのかもしれない。
昔、世界大戦中に実在したスパイでオランダのマタ・ハリ(す、凄い名前だぜ(照))という女スパイがいて、ほとんど裸同然の舞を高官たちの前で踊って虜にし、そこから得た情報1つでフランスの政局を一変させた経歴も
あり(歴史に興味ある人は調べてね)中々女というものは・・・あなどれない。
けどマタ・ハリは結局銃殺刑で亡くなったのですが美智子は・・・・美智子はどうだろうか。
護衛たちにためらいはなかった。
「・・・撃て!!」
ドガガガガーーッ!!!
「ぎゃあああーーーーっ!!」
「バッ、バホホーッブヒヒーッ!!!」
あっけない最後である。
護衛は屍となった2人の司令官たちに一礼し本土からやってきた新しい司令官と合流する。
だがおそらくこの黒奇島は撤退し本当の無人島にしてしまうのであろうが・・・・・
仮の、新司令官はコノエといい、振り向き、護衛の1人に言う。
「この島に元産業スパイの・・・ピンクフォックス氏はまだ生きているのか?」
薄暗い洞窟のような通路を女医と裸の美智子は歩いていく。
いつものあのイヤらしかった護衛がいない。
(何かあったんだわ・・・・)
そ知らぬ顔で歩く彼女。
美智子はこの道を知っていた。そう、いつも伽の時に何度と通った道。
「・・・司令官・・・のところへいくのですか?」
「正確には・・・の豪華な部屋へいくのよ。ふふ・・・」
やがて着き、豪華な重い扉を開けたが誰もいない。
(・・・・・・・・・・・・・)
裸体でぼーぜんと立つ美智子の後ろにはエリート女医。
分かっていた。
美智子は女医の殺気を感じ、覚悟した。
(ついに私も・・フ・・)
簡単だ。真紀や優子たちの後を追うだけ・・・自分に言い聞かせた。だが・・だが気になるのは、心残りなのは
島に残してきた愛するリョウタたちの事・・・が、もう・・・それもかなわないのだろう。
寂しそうに、意を決して彼女は呟く。
「・・・私は・・死ぬ覚悟は出来ています。ただ・・ただ1つだけ教えて・・・島の、島のみんなは今どうなって・・」
「元気よ。まっ、前よりもいい暮らしなんじゃないかしら。新体制の新しい司令官でね。でもねぇ女スパイさん、私はあなたの命を奪いにここへ来た訳ではないのよ。」
17へ続く